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楽しく暮らそう。ゆきうさぎの創作雑記

【短編恋愛ファンタジー】竜に告ぐ 3

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みなさんこんにちは。ゆきうさぎです。

久々に自作短編小説を記事にしてます。今回は『竜に告ぐ』というお話。

6回連作予定で、今日は3回目。

『北大陸のサリアード国、その王都リュウゼリアは古来より水の加護厚き聖地だった。十七になったアルダが医療院でようやく見習い仕事を覚えたころ、国の礼拝師を務める大貴族トッサ家の離れで出会ったのは、家長の一人息子、リュカだった――。』

いやしかし、この記事を途中まで書いていたら突然、子供達の学校が臨時休校になり、とても更新できる状況じゃなくなりました。。。

娘は小学校の卒業式が開催されるかされないか、の瀬戸際になるし、金曜日がいきなり今年度最終日だということで。え? なんですと~? 

小2息子の担任は新卒で新任だったのですが、初年度の終わりがこんなで、ショックで泣いていたと。「ホントに子供達、可愛くて可愛くて♪」といつも仰っていただけに、、、
小6娘のクラスも学年も、泣きながら帰宅した子、学校で号泣した子多数。
も~、学校も家も大混乱~。
先生も、男性も女性も涙ぐまれていた担任多かったみたいですが、そりゃー、涙出ちゃうよね。
PTAやボランティア活動だって、突然用意していたもの含めすべて全ストップしたので、とにかくもうてんやわんやでした。

私は自分は普段から、どちらかというと、あまり泣かない人なのですが。
帰宅直後、子供たちや先生のナマの声や様子をじかに聞いたり見たりすると、なんというかこう、胸にくるものがあるというか。切ない。いたたまれない。
TVで報道されている以上に、もっと衝撃は大きく深かった印象。
そしておそらく、この衝撃は簡単には消えないだろうなという予感がする。
2020年2月28日、子供達と先生方が流した涙を、私はずっと忘れないでしょう。

けっきょく成績表もないし、4月の予定も配られず(そりゃそうだよね無理だ)、持ち帰り荷物は通常の2倍(持てるだけ持って帰宅した感)なんもかんも中途半端~な状態で、これから1ヶ月の引きこもり生活がスタートします。きゃ~。

とりあえずトイレットペーパーでも買うかとドラッグストアに行けば、在庫切れでカオスだし、じゃ問題集でも買うかと本屋に行けば本屋も同じような人たちでごった返しており。

でも、うちはまだ専業主婦家庭だったので、
「えっなに、1ヶ月室内待機って、外行けないの、友達も呼べないの? 家庭学習推奨って、息子の間が持たないよっ! だいたい、なにをどう教えればいいのさ、あっ、昼ご飯これから毎日じゃん、うっきーオーマイガー」
程度で済んでますけど、働いてる兼業さんたちの大変度は、こんな気楽なものではなかろうと推察いたします。。。

とにかく、まだなにがどう転ぶかわかりませんので、一つ一つ目の前にあることを片付けていくしかないですよね。
私は黒子の立場なので、なにが来ようが、ひたすら支える所存であります。受けてたーつ!

で、こんな時に小説上げてていいのかわかりませんが、読者のみなさま、ひきつづき、物語をお楽しみ下さい♪

 竜に告ぐ 3

「こんなところで、なに油を売っているんだ」

リュカが不審げに立ち上がり、アルダを庇うように間に割って入った。

「誰だ、おまえは」

夕暮れ時、赤い逆光の中に佇んでいるせいで、顔を見分けるのに多少、時間がかかった。

「待てリュカ。私の知人だ。……トロイか?」

「ったく……幼馴染の顔くらい、すぐに見分けろよ」

呆れたように腰の剣に手をかけて、鹿革の長衣を着た精悍な武人は息を吐いた。

「アルダ、おまえがつれているその坊ちゃんは、トッサ家の御曹司だろう。さっき下僕が何人か、街へ探しに出ているのを見かけたぞ」

「本当か?! それは、まずいな」

「おまえに嘘を言って、俺になんの得があるんだ」

トロイはやれやれと肩をすくめた。

「いいから今日はもう屋敷に戻れ。それと――」

右手の親指を自分の胸につきたてると、

「子供のお守りする暇があるんなら、一度くらい俺の飯(メシ)にもつきあえよな。前からずっと言ってるだろうが、都にいるなら俺を頼っていいって」

「ああ、でも」

「でも、じゃない。いいか、俺はおまえの親父さんからもよろしく頼むと言われているんだ。俺の面目はどうしてくれる」

ほんっとに、つれないっていうか。男心のわからん女だなーおまえは、と呆れたように苦笑いされて、アルダはうろたえた。横からのリュカの視線が突き刺さるようで、痛い。

「どうせ、トッサの家にいたって使用人たちの愚痴や噂話を聞きながら飯を食うか、一人で離れでさみしく食ってるんだろ。だったら俺といるほうがずっと楽しいし、知見も広げられるだろうが――」

「それは」

「アルダ、おまえはもっと人を頼るすべを覚えろ。なにもかも一人で抱えこむな。俺はそんなにふがいない男じゃないぞ?」

「……悪かった。そんなつもりじゃ」

「よし、じゃ約束したからな。明日の夕方、医療院に迎えに行く。いいか、先に帰るなよ」

 無精髭をひとなでし、片手をひらひらさせるや、トロイは意気揚々と街の雑踏に姿を消した。

「……なんなんだよ、無礼な男だなっ」

「あれは私の父の、都勤め時代の親友の息子だ。今は王の近衛を務めている。いちおう直氏(スヴェン)だが下位士族でな、暮らしぶりは私と大差ない」

「本当に、アルダの幼馴染なのか?」

リュカがひどく不服そうな顔をするので、内心驚いた。

「いや。トロイは覚えているようなんだが……奴は私より四つ上だからな。実のところ私はあれと、幼子のころに遊んだ記憶がない」

それは事実だった。

「つまりアルダはほぼ初対面の男と二人で、仲良く肩寄せ合って街へ繰り出すのかよ」

「いや、夕飯を食べるだけだ。すぐ帰宅して勉強しないと、翌朝までの課題があるからな。トロイには悪いが、時間が惜しい。私がこれまであまりあれと出かけなかったのだって、あいつがなんやかんやと時間を引き延ばそうとするからで……リュカ?」

だがリュカは屋敷に帰るまでなぜかむっつり押し黙り、口をきかなかった。

(私は、なにかまずいことを言ったか……?)

しかもその一件があってから三月(みつき)、リュカは一度も離れに姿を見せなかった。

今まで何度か本館の行事や学業に忙しくして、こちらに来なかったことはあった。それでもここまで間が空いたのは始めてだったから、アルダは少し不安になった。

本館の下僕の話ではアルダと街へ出る直前に父と出かけた場所の毒気に当てられて、体調を崩したのだという。

――リュカ様は年に似合わず大人びた口もきかれるが、ご子息の中で一番トッサの礼拝師の血筋を色濃くついでおられるせいか、繊細なんだよ。

――子供の頃から気配に敏感で、けっこう病弱でいらしてな。奥様が箱入りで育てられてきたのには、そんな理由もあるんだ。

(あの時は、そんなふうには見えなかったが)

アルダはひそかに首をひねった。顔色や姿勢、動作を思い返しても、記憶にあるリュカには特段、病の兆候はなかったのだが。

(やはり、もしかしたら私が、なにか気に障ることを言ってしまったせいなのかもしれない……)

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北国サリアードの冬は長く厳しい。低い雲がたれこめ、太陽の光は滅多に届かず、昼夜を問わず細かな雪が春まで降り続く。

その日はようやく訪れた春分の次の夜で、アルダはひとり春分祭の後片付けをしていた。

(けっきょく、無駄になってしまったかな)

食卓に置かれたままの焼き菓子を眺めて苦笑する。

祭当日、あるいはリュカがくるかと期待してささやかな祝い料理を用意したのだが、考えてみれば本館では貴族を招いた盛大な宴があったのだ。

(元気でもここに来るはずはない、か)

そう思ったとたん、胸にわびしい気持ちがこみ上げた。

トロイから何度も誘いを受けたのを、読んでしまいたい本があるからと丁重に断って離れにとどまったのだが――どうやら無駄骨だったようだ。

(まてよ。どうして私は、こんなにリュカを待ってるんだ?)

自分でも理解に苦しむ。
そんなに私は、あの少年と仲違いしたままでいたくなかったのか。
むこうにとって自分の存在なんて、大勢いる家人とさして変わらないはずだ。
こうやって、会いたくないと思えば簡単に会わずに済ませられる、ただの邸宅の離れの居候にすぎないというのに。

でも、どうしても頭を離れないのだからしかたがない。
静かなようでいて激しく、まっすぐなリュカの、あの瞳。

(たしかにリュカの気質にはどこか、危うく儚いところがある……)

少年らしく己が定まらぬ不安を感じているのか――挑むように細い肩をいからせる様は純粋すぎるゆえ痛々しくさえあって。

だからなのか。たとえお節介と言われようが、あの汚れのない心をこのまま守ってやりたい、などと切に思ってしまう。

と、玄関のほうで物音がし、ついで耳慣れた足音が聞こえた。
固唾を飲んだ瞬間、はたして部屋の扉が開く。

「……久しぶり」

はにかんだような、ぶっきらぼうな表情。

「リュカっ」

見ないうちに、少し背が伸びた気が。
心配して損をした。頬の血色もいいし、むしろ幼さが少しだけ抜けて、若芽が伸びるごとく成長したふうに見える。アルダは内心、胸を撫で下ろした。と、

「あーあ、やっぱりだ。母は春分祭だからアルダも里帰りしているはずだって言ってたけど、使用人は離れに灯がともっているっていうからさ」

リュカは粉雪のついた長衣を脱いで椅子にかけ、緩い熱を発する暖炉にむけながら、ふと凍りついたように動きを止めた。

「あ……もしかしてアルダ、昨日……っ、俺を待っててくれたのか?」

射るような視線が食卓の菓子にあるのに気づいて、苦笑した。

「ああ、それか。気にするな」

「だけどっ」

「本館のモノとは比べものにならないくらい、お粗末な菓子だろう。直氏(スヴェン)の子息が口にするものじゃないかもしれない」

そういう問題じゃない、そんな言い方するなよ、とリュカは口を片手で押さえると、

「アルダは……、ひょっとして、ここにずっと一人で……?」

信じられないというような表情。ついでその瞳がきらりと光った。

「それって。俺と、祭を祝いたかったってことか……?」

アルダはちょっと考えてから、まあそういうことになるか、と頷いた。

「いいんだ。勉強したいから残ってた、というのもあるし」

それより身体の具合はどうなんだ、と軽い調子で聞くと、たちまち少年の顔が曇る。

「アルダも、俺が病(やまい)だと思ってたのか――」

斬り裂くような鋭さで睨みつけられ、知らず息を飲んだ。

「……だとしたら、はっきり言ってアルダに医療士の素質はないな。とっとと田舎に帰れ」

アルダは呆然とした。
どういう意味だそれは。

いつのまにか、リュカの双眸には憎しみとも哀しみともつかぬ光があった。

 
その4に続く>>

臨時休校始まってバタバタですが・・・【短編恋愛ファンタジー】竜に告ぐ 4 - Home, happy home

おまけ・元気の出る歌

なんか日本のみならず世界中、閉塞感が漂っているので。
今回からおまけをつけることにしました。←また唐突に思いつく。笑

ゆきうさぎが年末におせちを作りながらノリノリで聞いていた楽曲を、小説の最後にご紹介していきたいと思います。
一曲目は「Pharrell Williams-Happy」

www.youtube.com

音楽の力ってホントに偉大ですよね。
小説は書いて書いて、ちょこっと伝われば万々歳ですが、音楽はそういうのを超越して、直に響くというか。

どうか少しでも、このブログに来られた方が元気になってお帰りになりますように!

それでは、また。
ごきげんよう☆

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