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楽しく暮らそう。ゆきうさぎの創作雑記

アナタならどう書く?【集英社お題指定小説】『朧月』・前編

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みなさま、こんにちは☆ ゆきうさぎです。
暑い日が続いていますが、夏ばて、大丈夫ですか??

さて、本日と明日の2回は「お題指定小説」です。

ゆきうさぎ、10代のころコバルト文庫愛読者でして、雑誌コバルトも廃刊になるまで(途中10年くらいブランクありましたが)愛読してきました。
そのコバルト雑誌がなくなってしまい、あたらしくWEBコバルトが創設された当初、以下のような新企画がお目見えしました!!cobalt.shueisha.co.jp

なんと桑原水菜先生の書かれた文章のあとに、自分なりの創作をして原稿用紙10枚で完結させてください。とな!!

なになに、このめちゃくゃ面白そうな企画!!乗る!やるやる、やりたい!!やらせてー!!(子供の「遊びに入れてー」とほぼ同じノリ 笑)
で、出たお題が以下。

桑原水菜からのお題

この一発が、最後の仕事になるはずだった。
今夜は風が乾いている。
私は、愛用のライフルを持ち、ビルの屋上に立った。
南東の風、風速三メートル。この程度の風ならば、弾道を大きく修正せずとも済むだろう。私は銃身を固定してスコープを覗き込む。
これが最後の仕事だ。この一発で、私は暗殺者であることから解放される。
――こちらが示す標的を百人仕留めれば、組織から自由にしてやろう。
今日まで、九十九人を仕留めた。この一発が百人目。
百人目の標的を仕留めれば、私は妹とともにこの国からやっと脱出できる。
この日のために、心を殺し良心を殺して、人の頭を撃ち抜き続けてきた。
これで私は「人殺し」であることから解放される。
スコープを覗き込んだ。窓のカーテンは開いている。そこに立つ者を、いつものように、無心で仕留めればいいだけだ。私は標的を待った。
来た。
次の瞬間、私は凍った。
百メートル先を見通す小さなレンズに映った者を見て、思わず息を呑んだ。
「……あれは……っ」

※応募の際は、上の「お題」シーンを必ず冒頭に入れた小説を書いて、投稿してください。

(出典:集英社WEBマガジンコバルト/URLは上記↑)

さあ!!
もしこのブログを今読まれているアナタ、そうアナタですよ、アナタならこのあと、どう続けます?!?!←テンション高い

というわけで、これからゆきうさぎがどう展開してオチをつけたのか。ご覧あれ~~。
ちなみにゆきうさぎのは、残念ながら選外だったんですけどね。

なんか選評を読むと、同じような展開のは排除して、異色なのだけ最終に選んだみたいなんですよ。
だからたぶん、ゆきうさぎの展開自体はオーソドックス系だったんじゃないかな。

あと、お題が「暗殺者」だったため、当時ちょうど中東の紛争地域のドキュメンタリーを見た直後で、その内容も取り入れてみたんですが。
これ、企画の意図には沿わなかったのかもしれない。

というのも、なんか今読むと、ちょっと『鉄血のオルフェンズ』『進撃の巨人』的な感じになっちゃってるかも……汗

でもこれはこれでというか、世界で起きている現実なわけだし。
原爆の話を訴えるなら、他国の悲惨な話だって聞かなくちゃとも思うし。
苦手な方はパスしていただいてけっこうですけど、大丈夫そうなら読んでみて下さい。なにせ短いしね。

なお、もうすでに選考結果は出ておりますので、どういう話が選ばれたのか知りたい方は上記URLをご確認下さい!!
なんと6作もタダで読めるぞー。うぇーい。

本当にね、最初の文章がみんな同じで、そのあと全然ちがう話になっていくから、めっちゃ面白い、この企画♪ とか、思いません??
ひゃっほーい、ワクワクするぜ、っていうかね!!←ルフィー状態??

編集部さんも色々お仕事抱えてて、お忙しいでしょうにねえ。本当にありがとうございます。
この後もおもしろ企画がけっこうあって、楽しかった~~。

ゆきうさぎのは選ばれなかったけど、こういう出だしをまず考えつかないというか、新境地で、書いてる間中すっげー楽しかったから、ぜひまた同じようなのをやってほしいっす。

というわけで、前フリ長くなりましたが。
極短編お楽しみ下さいませ♪(緑字部分は桑原水菜先生作です!!)

 

極短編・『朧月(おぼろづき)』前編

  この一発が、最後の仕事になるはずだった。

 今夜は風が乾いている。

 私は、愛用のライフルを持ち、ビルの屋上に立った。

 南東の風、風速三メートル。この程度の風ならば、弾道を大きく修正せずとも済むだろう。私は銃身を固定してスコープを覗き込む。


これが最後の仕事だ。この一発で、私は暗殺者であることから解放される。


 ――こちらが示す標的を百人仕留めれば、組織から自由にしてやろう。


 今日まで、九十九人を仕留めた。この一発が百人目。


 百人目の標的を仕留めれば、私は妹とともにこの国からやっと脱出できる。


 この日のために、心を殺し良心を殺して、人の頭を撃ち抜き続けてきた。


 これで私は「人殺し」であることから解放される。


 スコープを覗き込んだ。窓のカーテンは開いている。そこに立つ者を、いつものように、無心で仕留めればいいだけだ。私は標的を待った。


 来た。


 次の瞬間、私は凍った。


 百メートル先を見通す小さなレンズに映った者を見て、思わず息を呑んだ。


「……あれは……っ」


  幼さの残る丸い頬に、ぷっくり突き出た唇。金茶色の長いまつげにふちどられた瞳は、妹のイリーナと同じ青褐色をしていた。

 ――謀(はか)られた。

 一昨日ようやく四つの誕生日を迎えた甥が、誰かに指示されたようにぎごちなく窓辺に立つのを見て、悟らないわけにはいかなかった。

  そういうことか。組織(あいつら)が私のようなつごうのよい駒をむざむざ手放すはずもなかったのだ。 

砂を噛む思いで、私は引き金から指をはずした。

「――で? 俺に声をかけたのはなんでだ」

 雨期の終わりの薄い月光の中、酒臭い安宿のベッドをきしませて、男が低くささやく。
ひきつれた背中の銃創に唇を走らせながら、

「そろそろ素直になれよ、アイシェ」

「……っ」

「それとも、もっとこうしていたいのか」

 それでも別に俺はかまわないが、と長い指が下腹に伸びる気配に思わずぴくりと肩をいからせると、大仰なため息が背後で漏れた。

「……いいから、無理をするな。アフマドから聞いてるんだ。おまえ男に触れられるの、本当は虫唾が走るくらい嫌いなんだって?」

 そういうわけじゃないと強がりたかったが、体中の血液が引いていくような感覚はいまだに健在で――ぎゅうっとまぶたを閉じた。

 初めてこれを知ったのは十五の春だ。忘れもしない、けわしい山に囲まれた貧しい村に、銃を乱射しながら賊が襲ってきた朝。

(あの日、私は一度、死んだ……)

 村人のほとんどは虐殺され、娘たちは拉致されて武装組織に売られた。

妹(イリーナ)のようにすぐ有力幹部の愛妾となった者は幸運だったが、ほとんどの娘は生き地獄に堕ちた。

 死ぬことすら赦されず、ただ息を吸って吐くだけの、無明の闇にあった日々。

 売春宿からぬけ出せたのは、たまたま客に暗殺部隊長(アフマド)がいたからだ。

(そして私は人殺しの手ほどきを受けた……)

 今こうして一緒にいるこの細身で精悍な男も、狙った獲物は必ずしとめる凄腕の狙撃手(スナイパー)だ。

隊長(アフマド)とは傭兵時代からの昔なじみで、三十路に近いはずだが顎鬚(あごひげ)はない。
情報屋として他国に出入りしているからだろう。

「なあ。こうまでして二人きりになりたかった理由はなんだ? こっちを向けよ、アイシェ。その唇で……懇願してみせろ。俺になにをしてほしい」

 完全に気を許したわけではない。けれど計画を実行に移そうと思い立った時、冷徹な隊長とはちがい思慮深くどこか一本気なこの男――バドゥル以外に適任者を思いつかなかった。

 ねがえりを打つと、相手の目をのぞきこむ。

「簡潔に言う。一緒に逃げてくれないか」

 

後編に続く>>http://www.yukiusagi.site/entry/tanpen3-2

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